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株式譲渡の手続きと流れ・必要書類

株式譲渡の手続きと流れ・必要書類|M&A Times

会社を売却する際、株式譲渡という言葉は知っていても、具体的にどのような手続きを踏めばよいのか分からない経営者は少なくありません。承認手続きを飛ばしてしまうと譲渡が無効になったり、後々のトラブルにつながったりする恐れもあります。本記事では、非上場の中小企業を前提に、株式譲渡の手続きの流れと必要書類を解説します。

結論・全体像:株式譲渡手続きの流れ

日本の中小企業の多くは、定款で株式の譲渡に会社の承認を必要とする「譲渡制限株式」を発行しています。この場合、株式譲渡は以下の流れで進みます。

  1. 譲渡承認請求(株主から会社へ)
  2. 取締役会または株主総会での承認
  3. 株式譲渡契約の締結
  4. 譲渡対価の決済
  5. 株主名簿の書換

スキームとして株式譲渡を選ぶべきかどうかは、事業譲渡との違いを踏まえて判断する必要があります。詳しくは株式譲渡と事業譲渡の違いで解説しています。以下では、それぞれのステップの内容を詳しく見ていきます。

手続きの詳細:ステップごとの主な内容

譲渡制限株式を売買する場合、まず株主から会社に対して譲渡承認請求を行います。承認機関は、取締役会を設置している会社では取締役会、設置していない会社では株主総会(原則として普通決議)が担うのが原則です。定款で別段の定めがある場合はそちらが優先されます。

ステップ主な内容
①譲渡承認請求譲渡人が会社に対し、譲渡する株式数・譲受人を明示して承認を請求する
②承認機関の決定取締役会設置会社は取締役会、非設置会社は株主総会で承認可否を決議する
③結果の通知会社は請求から2週間以内に承認・不承認を通知する。原則として、この期間内に通知しないと承認したものとみなされる(みなし承認)
④株式譲渡契約の締結譲渡人・譲受人間で価格や表明保証などを定めた契約書を取り交わす
⑤対価の決済契約で定めた方法・時期に譲渡代金を支払う
⑥株主名簿の書換譲渡人・譲受人が共同で会社に名簿書換を請求する
譲渡制限株式を前提とした一般的な流れ。定款の定めにより手順が異なる場合があります

会社が不承認とした場合は、会社自身または指定買取人が株式を買い取る手続きに進みます。この場合、不承認通知から一定期間内に買取先を通知する必要があるなど、追加の期限管理が必要です。手続き全体の位置づけはM&Aの流れもあわせて確認するとイメージしやすくなります。

必要書類の一覧

株式譲渡には、承認手続きから名簿書換まで複数の書類が必要になります。主なものは以下のとおりです。

書類名役割
株式譲渡承認請求書譲渡人が会社に承認を求める際に提出する書面
取締役会議事録/株主総会議事録承認機関が譲渡を承認したことを証する書面
株式譲渡契約書譲渡人・譲受人間の合意内容(価格、表明保証等)を定める契約書
株主名簿書換請求書譲渡人・譲受人が共同で会社に名簿書換を求める書面
株主名簿記載事項証明書書換後、会社が新株主に対し記載内容を証明する書面
会社の機関設計や定款の定めにより、追加の書類が必要になる場合があります

契約書に盛り込む条件の詳細は最終契約書(DA)とはで解説していますので、あわせてご確認ください。

税務上の取り扱い

株式を譲渡して利益(譲渡益)が生じた場合、個人株主・法人株主のいずれも譲渡所得等として申告が必要になるのが原則です。税率や計算方法、優遇措置の有無は保有形態や譲渡先によって異なるため、詳細は会社売却の税金で確認し、実際の申告にあたっては税理士へ相談することをおすすめします。

よくある失敗・注意点

  • 譲渡制限の確認漏れ:定款を確認せずに譲渡を進めると、承認手続きを欠いたまま契約してしまう恐れがあります。会社に対しては譲渡の効力を主張できないため、必ず事前に定款を確認しましょう。
  • 株券発行会社での株券交付漏れ:株券を発行している会社では、株式譲渡の効力発生に株券の交付が必要です。古い会社ほど株券発行の有無を見落としがちなため注意が必要です。
  • 名簿書換を忘れる:名簿書換をしないと、新株主は会社に対して株主であることを対抗(主張)できません。配当や議決権行使にも支障が出るため、譲渡後は速やかに手続きしましょう。
  • 定款・登記の確認不足:株式譲渡そのものは原則として登記事項ではありませんが、代表者や役員の変更を伴う場合は別途登記が必要になります。定款の定め方によって手続きが異なる点にも注意が必要です。

なお、株式譲渡は事業譲渡と異なり、株主が変わるだけで会社の権利義務はそのまま引き継がれます。契約関係や許認可を個別に移す必要がない点は大きなメリットですが、簿外債務なども含めて会社ごと引き継ぐことになるため、譲渡前の情報開示や表明保証の設計が重要です。この点は株主間契約NDAの締結とあわせて検討するとよいでしょう。

まとめ

  • 非上場の中小企業では、まず定款で譲渡制限の有無と承認機関を確認することが出発点になります。
  • 承認請求から契約締結、対価決済、名簿書換までの流れと期限(2週間のみなし承認等)を把握しておく必要があります。
  • 税務や契約内容など専門的な判断が必要な場面では、早めに税理士・弁護士へ相談しましょう。

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